日本しし座流星群観測ネットワーク連絡会(ANJLO)
◇はじめのごあいさつ

◇はじめのごあいさつ

ANJLO共同代表 矢野創(文部科学省宇宙科学研究所・惑星研究系)


 このたびはしし座流星群の総合情報サイト「日本しし座流星群観測ネットワーク連絡会」略称 「ANJLO」のホームページに お越し下さり、どうもありがとうございます。 流れ星は、太陽系の果てからときどき地球の近くにやってくるほうき星が吐き出した小さなチリが、地球大気に飛び込んだときに光る、身近な天文現象です。流星群出現の日でなくても、暗くて澄んだ夜空なら、毎晩1時間当たり数個の流れ星をご自分の目で直接見ることができます。科学観測や天体写 真撮影を目指さなければ、望遠鏡のような特別な道具も一切要りません。

特に今年のしし座流星群の極大期には、三日月のお月様も地平線に沈んでしまうので、天候に恵まれてさえいれば皆さんの街からでも、例えば街明かりを避けた公園の森や、高層マンションの屋上や照明を落とした部屋のベランダなどから、明るい流れ星を十分に見ることができるでしょう。ぜひご家族やお友達や恋人など、あなたの大切な人と一緒に慣れ親しんだ土地で、この天文ショーを楽しんで頂けたらと思います。また、理科離れが指摘されている昨今にあって、お子さん達に自然科学の楽しさを体験してもらう絶好の機会でもあります。

 日本を含む太平洋西岸で大出現が予報されている今年のしし座流星群は、今世紀最初にして最大規模の流星雨になる可能性が指摘されています。そこでこの度ANJLOでは、母彗星の1998年の回帰から始まった様々なタイプのしし座流星群観測ネットワークの総決算として、国内各地の研究者、アマチュア天文家、学生達が一致協力して、予報される極大期を中心に、しし座流星群の関連情報や当日の映像、そして観測結果 速報などを総合的に情報発信することにしました。流星群の前に情報を集めるも良し、当日残念ながら曇った夜空や極大期に遭遇しない地域から流星のライブ画像を見るも良し、あるいは流星群の後に出てくる科学観測結果 の速報を読んで私達の太陽系について理解を深めるも良し。ANJLOサイトは、皆さんのニーズに合わせて色んな楽しみ方を提供致します。

 ここ数年間のしし座流星群極大期の出現時刻については、近年ロシアの研究者が開発し、日本の研究者が出した軌道計算結果 をオーストラリアと英国の研究者が使った計算結果によって、数分から数十分の精度で予報できるようになりました。しかしその出現規模を推定するには科学的に不確定な要素がまだまだ多く、それゆえに今年や来年にもしし座流星群の研究観測の継続が大切です。1998年のしし座流星群の時には、国内の様々なメディアでは「雨のように星が降る」という表現が使われましたが、どのような規模の出現なら「雨のよう」だと満足していただけるかは、見る人一人一人で異なります。

1999年に地中海上空の観測用航空機から私が撮像したしし座流星群は、最も激しい時には瞬く間に2−3個の流れ星が同時に光っていました。それは、私の人生の中で最も多くの流星に遭遇した夜でしたし、「まるで今よりも隕石や宇宙塵がはるかにたくさん降り注いでいた、誕生間もない地球にタイムスリップしたみたいだ」と、科学者として生涯忘れ得ぬ感動を味わいました。

1999年11月18日に地中海上空で、NHKが開発した超高感度ハイビジョンカメラを搭載したLeonid MAC航空機観測ミッションによって、日本チームが撮影したしし座流星雨のコンポジット画像。
天文ガイド2001年12月号掲載。無断転載はご遠慮下さい。
画像提供:NHK/矢野創(宇宙科学研究所)
画像処理:中西昭雄(天文ガイド、誠文堂新光社)

 今年の太平洋西岸での出現規模は、その1999年と同規模かそれ以上ではないか、という試算もあります。しかし冷静に考えれば、本物の「雨」ならもっとたくさん雨粒が降り注ぐので、もしかしたらこのレベルの流星雨でも満足できない方がいらっしゃるかも知れません。それは人それそれぞれですが、少なくとも私が2年前に味わった流星雨を直接体験することで生まれる宇宙への素直な感動を、一人でも多くの方に共有していただきたい。そして、地球と宇宙はいつでもつながっているということ、そしてバーチャルな体験ではなく、自分の五感で自然現象に向き合うことの面 白さを、21世紀を生きる子供達に感じてほしい。そんな思いでこのANJLOが創られました。皆様の温かいご支援・ご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2001年10月25日